グリーンウッドワークWSにて、丸太からうつわをつくる!

つくること

7月の土曜日。2週に渡って海上の森センターで行われたグリーンウッドワークのワークショップに参加してきました。海上の森はいつもハイキングに来る大好きな場所。直接森に行っていたので、センターには来たことがなく、工作室があるなんて知らなかった!
グリーンウッドワークWSでの器作りを、私なりにまとめてみます◎

グリーンウッドワークとは

「木工をする」といえば、通常は材料を買いにホームセンターなどで乾燥させた板材を買ってくるところから始まります。自分の手に材料が届いて木工ができるまで、どこかの森の木が伐り倒されてから、乾燥に数年放置され、加工され…年月と人の手が加わりやっとこさ店頭に並びます。

しかしグリーンウッドワークは、まだ瑞々しい、伐ったばかりの生木を加工します。
住んでいる近くの森の木を、庭先の剪定した枝を。
樹が育った場所を見ることができる。この地形に育ったから、こういうねじれが生まれたんだね。と、実感しながら制作することができる。(私はそれをなるほどー!と聞いている側です。笑)

でも生木を加工しているわけだから、作品完成後に徐々に乾燥していきます。
その過程で、反りがどうしても出る。
木工界で通常NGとされている反りやねじれを、あえて木の個性として、作品の一部として受け入れて愛でる。そんなおおらかさがグリーンウッドワークにはあるように思います。
加工中にちょっと欠けたって、それも味。ぴっちりきっちりしなくても、楽しもう!という雰囲気が、WS中にもありました。

加工方法も、電動工具は使わなくて、手道具のみ(講座では割と大きめの丸太を使ったので、最初のみチェーンソーで切り分けてもらいました)。
とてもエコであり、切れる道具さえあれば(←ここ重要)気軽に始められる。魅力的なウッドワークだなと思います◎

今回のWSでは、主に「斧」と「ノミ」、「木槌」を使っての作業でした。
普段銘木でアクセサリー作ってますけど…ぜんっぜん使用したことのない道具ばかりで、もうほんと、全く違う世界です。笑

キャンプで枝を伐ってカトラリーを作る。など、身近に始められる木工でもあるのかなぁと思ったり。
間伐材などを利用することも、薪にしかならないと言っていた材料から作品を作ることもできるのでは。

「わがたぼん(我谷盆)」を作る

左から2つはクリの木で作られたわがたぼん。右のものは今回のWSの見本。

今回のWSは、器を作ろう!というものでした。見本となる形は我谷盆。グリーンウッドワークと聞いて、海外由来の木工かと思いきや、日本でも昔から、生木から暮らしの道具は作られてきました。石川県の旧我谷村で作られていた我谷盆。クリの塊を削り出して作っていたお盆は、一面に並ぶ丸ノミの跡。
一律に並ぶ丸ノミの跡に、職人さんの凄さを感じつつ、いざWSスタートです!

丸太から平らな板を切り出す

目の前にあるのは大きな丸太。リョウブという木でした(乾燥材はとても堅く、加工困難だとか)。近くの森で、森林整理のために伐り出されたものです。
WS前に、皆で森を数分歩いて、ここにあった木だよ。と教えてもらいました。そんな過程があるのも、グリーンウッドワークならでは。いや、もう少し細い丸太を使用するのであれば、本来は自分たちで森から伐り出すところからスタートするようです。

丸太を、斧と木槌を使って割ります。この作業が…しんどい。笑
最初は全然割れる気がしなかったけど、徐々に、徐々にミシミシと…やっとの思いで割りました。慣れと力が必要ですね。
ある程度、平らな板状になるまで斧ではつります。斧でこんな作業ができるなんて知らなかったな。薪割りくらいのイメージしかない(薪割りに使う斧とは種類が違うみたいです)。

割ったリョウブをなるべく平らに、完成に近い厚みまではつることで、その後の作業が軽減される。

底となる面を先生にカンナで平らにしてもらいました。カンナってふつう、木目方向にかける感じだと思うのですが……。生木は柔らかい&それなりの刃の調整をして、横向きに削っていました。実に不思議!厚めのカンナ屑。そして早い!

ノミで底を彫っていく

お盆の底を彫っていきます。縁となる部分に切り込みを入れて、溝をノミで彫る。少しずつ少しずつ、彫り進めて底を作っていきます。彫り出す時は、表面が凸凹してるから、なんだかノミがうまいこと進まず…。でも彫り進めるうちに、無心になる!これは楽しい作業でした。削るごとにジワッと水分が出てきたりして、生木を扱っているという不思議さを実感。

硯のようである。。
何段階にも分けて徐々に彫っていく。色が濃くなっているのは前回の作業から一週間空いたため。

底の深さが出たら、最後は飾り彫。丸ノミで一筋ずつ丁寧に彫っていきます。縁の筋と合わせると、見栄えが良いとか。難しいー!

いつまでも微調整してしまう……これで良しとします!

外側をととのえる

お盆状になったら、外側を仕上げます。少しテーパーにして、持ちやすく。
カンナで仕上げていきます。木口側もカンナでシュッ。木口柄のカンナ屑は、初めてみました。生木ならではな気がします。それにしても綺麗に整う。道具の切れ味が良いって、気持ち良いなぁ。

溝にあわせてサイドも丸みを。

塗装する

今回のWSでは、「柿渋仕上げ」「アンモニア仕上げ」「そのまま」と3つの中から選択することができました。柿渋は和傘などにも使われていて、防水、防腐、耐久性があるイメージ。
しかしアンモニア仕上げとはっ!?
アンモニア水と同じ空間に密閉しておくと、空気中で揮発したアンモニア水と、木材のタンニンが反応し、1時間程でグレーっぽい落ち着いた色合いに着色されるとのこと。古色と言いますか、良い雰囲気。自分ではやらないだろうという理由もありつつ、アンモニア仕上げを選んでみました。

アンモニア水を少し器にだして、密閉します。
小一時間。色が変わりました!

出来上がったお皿を鼻に近づけてみたら、仰反るほどの物凄い刺激臭!!!そんな臭いは割とすぐなくなりましたが、なかなか驚きました。いろいろな塗装方法がありますね◎
乾燥が進んだら、軽くペーパーをかけて、オイル仕上げにでもすると良さそうです!

完成した作品をみて

2日間かけて完成した「myわがたぼん」。皆の作品を机に並べて、眺めてみる。

黒いものは柿渋+アンモニア。赤いのが柿渋。右下の3つは無塗装。

形も雰囲気も、木目模様も、それぞれ違っていて面白い。どれひとつとして同じ器はないけれど、でもどの器も、同じ1本の木から生まれている。立木として近くの森にいた姿を皆が知っている(今回は丸太からでしたが)。それがとても新鮮で面白く、グリーンウッドワークの魅力だなぁなんて思います。

その後の乾燥具合と感想

持って帰ってきた翌日。表面木口に歪みがでてきました。

我が家に持って帰ってきて1週間。徐々に乾燥は進み、だいぶ反っています!!笑
湿度の多かった雨日和から、急に快晴が続いたのも影響しているのか…予想を超える反り具合。皆のはどうなのかなぁ。

一週間後。

通常の木工では考えられない反り方ですけど、これも許される、というか、ユニークな特徴として受け入れられる。自然の偶発美的な。自然とコラボ的な。楽しいな、生木木工。
パンとか置いて食器的に使おうかな、なんて思っていましたが、文房具置きとかになりそうだな。笑

そんなグリーンウッドワークWS、実は今回が初めてではなく、場所が違えど2度目の参加でした。
初めて体験したのは約15年程前。何でWSがあることを見つけたのかは、もう忘れてしまったけど、岐阜の森林文化アカデミーという施設まで体験に行きました。

初めて聞く「グリーンウッドワーク」という言葉。「引き馬」「足踏みろくろ」。こんな木工の世界もあるんだと思い興味津々だったのだけど、なんだかずっと、またやる機会を逃していた。ここ1,2年また名前を聞くようになり、ネットで調べて今回の参加となりました。

またWSが開催された際には、参加しようと思っています◎

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