相棒は車から自転車へ

mybicycleひとりごと

3月で、私は長年乗っていた愛車を手放した。
どこに行くにも車だったあの頃。
今は電動自転車を手に入れて、あからさまに生活範囲は変わった。

以前は駐車場の台数が少なく、行けなかったパン屋さん。
駐車場代がかかるからあまり行かなくなっていた商業施設。
駐車場所がわからなくて、気になりつつも前を通るだけだった公園。

そんな気になっていた場所にはすぐにふらっと行けるようになった。

車ではなかなか裏道というのを利用したことがなく、大通りばかり通っていたけど、
自転車になってから、赤信号になると違う道に進んでみたり、裏道を通ってみたり。

こんなにも生活範囲が変わることに驚いた。

自転車になったことで、図書館に通うという習慣もできた。
実家に住んでいた頃は、車で地元の図書館によく通っていた。
一人暮らしになってからの地域は、駐車場が狭く、なんだか行くのが面倒臭くなっていた。
その点、駐輪場は広く、入口の目の前にあってとても便利。
一度借りに訪れたら、そこからはなんだかんだと、いろいろ借りては読んでいる。

図書館のよれよれの本たちの、ページをめくりながらコーヒーを飲むひとときは良い時間。

自転車での行動が増え、今まで気づかなかったお店にも出会える機会がもてた。


入口が狭くて、車では気づかなかったお店。
ふらっと道を変えたことで、偶然出会えた路地裏のお店。


先日は、学生時代によく訪れていたライブハウスを偶然発見した。

近くの大通りはよく車で通っていたのだけど、
一方通行が多いとなかなか違う道を走らせることはなく、
この辺、という微かな記憶はあったけれど、具体的な場所は覚えていなかった。

その懐かしいライブハウスの、壁面に描かれた歴代アーティスト達の絵が、
自転車をふらふらと走らせていたら、突然目の前に現れたのだ。

学生時代にタイムスリップしてしまったのではないかと、
一瞬、本気で感じたほど、懐かしい景色が突然、目の前に現れた。
驚きすぎて、急ブレーキをかけるほど。

「えーっ、この通りだったんだーっ!」と1人呟く。

いつも車で通っていた道を、たった一本入っただけ。

その道に、今も変わらず、存在するライブハウス。

壁面のアーティスト絵はあの頃よりだいぶ色あせていたけど、
相変わらずその場で、笑いかけてくる。

学生時代なんて、もう15年以上も前のこと。

あの子は今、どうしているかな。なんて、ふと昔を思い出す、黄昏時間。

車ではなく自転車生活も、案外悪くないな。

風を切って、明日も走ろう。

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