星野道夫「悠久の時を旅する」写真展に行ってきました

ひとりごと

アラスカで沢山の野生動物や自然の写真を撮っていた写真家の星野道夫さん。
名古屋駅の高島屋にて、開催中の写真展(4月25日まで)に行ってきました。

写真展に行くのは数年ぶりで、多分3度目とか。
観たことある写真もあるし、彼について知っていることも多いけど、行くたびに、感じるポイントは毎回違うのですよね◎今回は入場早々に、目頭を熱くしておりました。

19歳の時に出会った写真集で、アラスカのエスキモーの村「シシュマレフ村」の写真をみて、住所も知らない村長に手紙を出し、半年後の返事ののちにシシュマレフ村でひと夏を過ごした星野道夫さん。
その時の手紙が展示されていました。

「写真集でみた写真に、シシュマレフ村に行ってみたいと思ったけど、知り合いなんていません。なんでもするから少しの間居候させてくれる人を紹介してくれませんか。拙い英語でごめんなさい。」

「お返事が遅くなりました。是非うちにきてください。夏の作業を一緒にやってくれてもいい。最寄りからの送迎も手配するよ。」

↑随分と端折っていますが、そんなやりとりの手紙に、人間の心の温かさ、優しさを感じてホロリ。
この頃涙腺が弱くなったなーと1人で焦りながら、写真を拝見していきました。

タテゴトアザラシ / フォトスポットにて。
ホッキョクグマ

彼の目線で切り取られたアラスカの自然は厳しく、時に穏やかであり、温かく。
普段、日本で生活をしていると、触れることのできない景色や感情に、ふわりと優しく近づけてくれます。

野生動物の毎日の生活は緊迫に満ちていて、それでもちょっとした憩いの時間に見せる表情。
現地に暮らす先住民の生活も、狩猟をし、生活に必要な道具やモノを作り…誰もが生き抜いていく術を考えて自然と共存しながら、日々を生きているのです。
そこから感じるのはいのちの廻り、繋がり。

あの時の、村長との1通の手紙のやりとりから始まった星野道夫さんの写真家人生。
極北の自然と、そこに生きる人々の暮らしを、記録する旅。
取材中にヒグマに襲われて命を落とした星野さんだけど、それから20年以上経った今も皆に読まれている彼の書籍。

写真もさることながら、文章も素敵なのです。
星野道夫さんを知ったのは小学生高学年か、中学生の時でした。
最初は写真メインで観ていたけれど、段々文章にも目がいくようになり。
彼が紡ぐ言葉から感じられる、遠い彼方の世界が新鮮で、だけどその中に自分にもわかる気持ちが散りばめられていて。少しづつゆっくりと読んでいたっけ。

今でもこうやって、文と共に大きな写真を観れる機会があって、嬉しいなぁ。

今のように、とりあえず撮って、後で良い写真だけを残す、なんてできない時代。
シャッターを切るボタンの重み、フィルムカメラの1枚の写真に込める思いは、今と全然違うだろう。
今のように、とりあえずパソコンに向かって思うままに文を打ち込み、後で切ったり貼ったり入れ替えたりできない時代。
原稿用紙に万年筆で書く一文字一文字に、直した形跡や筆跡に、どんな場所でどんな気持ちで書いていたのかを垣間見ることができるだろう。

1990年代半ばまでと今とは、全く違う世界。
物質的なことだけではなく、いろいろな「重み」みたいなものが、あの時代と今ではだいぶ違うように思います。

彼が今、もし生きていたら。
どんな写真と文章を、どうやって届けているのかな。

写真展 星野道夫 悠久の時を旅する
会期:2022年4月14日(木)〜2022年4月25日(月)
会場:ジェイアール名古屋タカシマヤ10階特設会場
時間:10:00~19:30(20時閉場)※最終日は16時30分まで(17時閉場)
入場料:一般1,000円、大学・高校生800円、中学生以下無料

今後の巡回予定地
2022年7月頃 北陸地方
2022年11月頃 関東地方

星野道夫オフィシャルサイトはこちら

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